第177話

リアム視点

過去十年間、俺の人生は二つのことを中心に回っていた。バイオレットとクロエを全力で守ること、そしてアシュフォードの双子を「神のごとき存在」に見せることだ。訓練での尻拭いから、ゲームでわざと負けてやること、さらには彼らが狩りの腕前を自慢できるよう、動物を捕らえて近くに放すことまでやってのけた。彼らの完璧なイメージを守るために、俺が裏でどれほど奔走していたか、あいつらは知る由もないだろう。

だが、それこそがベータの役割だ――何があろうと他人を優先する。無私無欲こそが俺の代名詞みたいなものだし、自分の「番(つがい)」にはまだ手が届かない状況じゃ、時間を埋める方法を見つけるしかなかった。...

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