第193話

リアム視点

クリスタル・ムーンのベータの家の私道に車を乗り入れながら、俺の思考はこれから会う男のことへと漂っていった。オベロン・スターリングは、俺の二人の父にとって、人生の大半を共にしてきた親友の一人だ。所属するパックこそ違えど、彼と俺の父たち――カレブとケイデン――は、同じ私立学校と大学に通った数年間で、決して壊れることのない絆を築き上げたのだ。未来のアルファとベータとして、彼らが惹かれ合ったのは自然なことだったのだろう。その友情は、互いが背負う責任と、共通するアイルランドの血によってさらに強固なものとなっていた。

幸いなことに、俺たちのパックの領土は隣接しており、彼らは長年にわたって交...

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