第253話

リアム視点

帰る時間が来た。オベロンは一泊分の荷造りへ向かい、俺とローガンはリアを起こしに行った。ローガンは、俺が初めて「番(つがい)」を目にしたあの部屋を見たがっていたのだ。場所は鮮明に覚えていたが、たとえ忘れていたとしても、闇夜の灯台のように彼女の香りが俺を導いただろう。

俺は彼女の寝室のドアをそっと開け、頭だけを滑り込ませた。起こす前に、少しだけ寝顔を見ていたかったからだ。そして最初と同じように、その香りが鼻をかすめた瞬間、膝から崩れ落ちそうになるほどの衝撃が走った。だが、その余韻に浸る間もなく、双子の片割れが俺を押しのけて部屋に入り込んだ。同じ抗えない引力に突き動かされて。

彼女...

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