第272話

ダリア視点

ジョヴィと話した後に残る胸のざわつきを、私は必死に振り払おうとした。今夜、これ以上の波乱なんて御免だ。幸い、席に戻ると気分の変化に気づく者は誰もいなかった――皆、楽しむことに夢中になりすぎていたからだ。

まるで天が「すべてを忘れたい」という私の切実な願いを聞き入れたかのように、絶妙なタイミングでウェイトレスが次の酒を運んできた。私は一秒も無駄にせず、ショットグラスを一気に煽ると、すぐさま次を注文した。双子の一人が偉そうに保護者ぶって「ほどほどにしておけよ」などと言ってきたが、そんな忠告は即座に却下してやった。

今夜の不快指数はもう限界に達したと思っていた矢先、泥酔して上機嫌の...

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