第276話

リアム視点

目覚めると、この上なく柔らかな感触に包まれていた。リアの温かい頬が俺の胸にしっかりと押し付けられ、彼女の穏やかな寝息が静かなリズムを刻んで部屋を満たしている。彼女はまだ深い眠りの中にいて、安らかで、周囲の世界のことなどまったく気づいていない様子だ。

俺たちの隣のスペースは冷たくなっていて、ローガンの姿はどこにもなかった。だが、バスルームからかすかな衣擦れの音が聞こえてくるので、遠くへ行っていないことはわかった。

時計に目をやる。六時半だ。トレーニングは三十分前に始まっているはずだが、昨夜のうちに二人ともサボることで合意していた。だからローガンがそこに向かうはずはない、少なくと...

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