第279話

ダリア視点

彼が出て行き、背後でドアがカチリと閉まった瞬間、堰を切ったように感情が溢れ出した。体が震え、波のように押し寄せる悲しみの重さに打ちひしがれる。私はただそこに横たわり、身動きも取れないまま、何時間もの時が流れ去っていくのを感じていた。そうしてようやく、ずっと抑え込んでいた悲しみをすべて吐き出すことができたのだ。遠い昔に葬り去ったと思っていた痛みが、圧倒的な力で蘇る。心の奥深くに閉じ込めていたすべてが、今、表面へと湧き上がってくるのを感じた。

私は泣いた。かつての自分、もはや面影すら失ってしまった自分を想って。いつから私はこんなにも脆く、不安に蝕まれるようになってしまったのだろう?...

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