第323話

ダリア視点

ソーチャとブルーは何時間も走り続けていた。木々の間を縫うように駆け抜け、リスを追いかけ、落ち葉を舞い上げる。それは狼たちだけが知る、本能的で言葉を必要としない絆を確かめ合う時間だった。その間、叔母と私はただその「乗り物」に身を任せ、内側から静かに見守るだけの存在だった。

時折、ソーチャはペースを落とし、ブルーと共に魔力を操るよう私を促した。彼女が提案するのは、ドラマチックなことではなく、小さな共有の目標だった。小川の水を一口分だけ引き寄せたり、念じて石を動かしたり、意志の火花で枯れ枝に火をつけたりといった些細なことだ。彼女の期待は控えめなものだった。

努力もむなしく、唯一の結...

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