第325話

オベロン視点

ほんの数分の間に、俺の心境は激変した。月の女神に娘を無事に返してくれと必死に祈っていたかと思えば、今度はその娘を揺さぶって正気に戻してやりたいという衝動に駆られている。彼女が苦しんでいるのは分かっている。当然だ。彼女が彼らの元を去ってから毎日、俺は彼女の「番(つがい)」たちと話をしていたのだから。彼女がどんな誤解に苦しめられているのかも理解している。避けようとしていた心の傷に結局追いつかれてしまったと思い込み、どれほどの苦悶を味わっているか、俺は娘のことをよく知っているからこそ痛いほど分かるのだ。

だがそれでも……あいつはどうしてこれほど身勝手になれるんだ? よくも俺をここま...

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