第329話

ローガン視点

俺はリアのクローゼットの床で体を丸め、彼女の枕の一つに顔を埋めていた。彼女の匂いが、癒やしであると同時に呪いのように俺を包み込む。頭上に静かに吊るされた服たちからは、あの馴染み深い香りが漂ってくる。この底なしの深淵へと堕ちていく中で、それが唯一の錨(いかり)だった。ここが俺の避難所――惨めな聖域となっていた。彼女への恋しさが胸を深く抉り、目を閉じて彼女がそばにいるふりをするしかなくなる、そんな瞬間のための場所だ。惨めだって? そうかもしれない。だが、これが俺に残された彼女のすべてだった。

俺が完全に崩壊してしまうのを食い止めている、唯一のものだ。

俺はこれまで数多くの過ちを...

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