第35話

真実を否定したくても、それは厳然として目の前に存在していた。私は自分の体を心の中で点検せずにはいられなかった。特に変わった感じはしない。シルバーの頭の中に割り込んでくる声を除けば、いつもの自分とほとんど同じように感じられた。顔の傷があれほど早く治った理由も、これで説明がつく。普通なら興奮するところかもしれないが、私にはそんな感情は微塵もなかった。

こんな化け物の一員になるなんて、私が一番望んでいないことだった。私は「普通」を求めていたのだ。もちろん、心のどこかで、この力をジェシーに対抗するために使えるかもしれないと考える自分もいた。そのことに罪悪感を抱くべきだとは思ったが、どうしてもそうはな...

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