第44話

シルヴァーの必死な声に突き動かされ、私は無我夢中で駆け出した。靴底が歩道を叩く音が、無人の通りに反響してビルに跳ね返る。

「あいつら、人狼よ」シルヴァーが鋭く囁く。「もっと速く走って」

私は通りを横切り、歩道を駆け抜けたが、息はすでに切れ切れだった。筋肉が焼けつくように熱い。数日前にギプスを外しておいて本当によかったと、天に感謝した。足は完全に治っていた――半分人狼であることの特典だろう。肺が悲鳴を上げ、私自身も叫び出したくなる。スピードや筋力は強化されていても、人狼の血はスタミナまでは底上げしてくれないらしい。

「後ろを見ちゃだめ」

私が振り返ろうとした瞬間、シルヴァーが鋭く制した。...

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