第48話

「起きる時間だよ、お姫様」イーサンは私の肩を優しく揺すりながら、小声で囁いた。

「やだ……」私は呻いて、ベッドにまだ残る温もりにしがみついた。

その温もりは、隣にいるもう一人の男から来ていた。彼の腕は私の腰に回され、満足げな寝言を漏らしながら私の髪に顔を埋めている。双子から発せられる熱が波のように押し寄せ、肌にうっすらと汗が滲んでいるのに気づいた。キーランの放つ柑橘と木の香り――パチパチとはぜる焚き火のような匂いが、安らぎと安心感を与えてくれる。それが私を再び眠りへと誘ったが、イーサンの声が現実に引き戻した。

「今日は長い一日になるんだから」イーサンは穏やかに笑い、また肩をつついた。

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