第101章

江口美咲は星ちゃんの髪を編み終わると、彼女を連れて部屋を出ようとした。

振り向いた瞬間、ドアの前に立っている男の姿が目に入った。

高橋隆司の瞳の色が一瞬暗くなり、目の中の温かみがすべて引き上げられ、よそよそしく丁寧な口調になった。「朝食の準備ができたから、下においで」

そう言うと、彼は先に立って歩き出した。

江口美咲はしばし呆然としていた。

今、高橋隆司の顔に浮かんでいた表情がいつもと少し違っていたように見えたが、それはほんの一瞬のことで、自分の思い違いかもしれなかった。

我に返った江口美咲は星ちゃんの手を取り、朝食を食べるために階下へ向かった。

食卓につくと、星ちゃんは自然と...

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