第105章

幼稚園への道中、星ちゃんはリュックを抱えて後部座席に座り、目を伏せたまま、すっかり元気がなさそうだった。

藤原花子もこの子との関係を良好に保ちたいと思っていた。少なくとも表面上は円満でなければならない。

バックミラー越しに星ちゃんの様子を窺い、心配するふりをして声をかけた。「星ちゃん、どこか具合悪いの?おばさんが病院に連れて行ってあげようか?」

星ちゃんは彼女の声を聞いても、顔を上げようともしなかった。

藤原花子は眉をひそめながらも、優しく続けた。「それとも、おばさんが休みの連絡を入れて、今日はゆっくり休む?」

言葉が落ちても、やはり返事はなかった。

数秒待って、藤原花子はイライ...

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