第108章

その日の夜、江口美咲は仕事を終えると、ぎりぎりの時間で二人の子どもたちを迎えに来た。

幼稚園の門前には二人だけが残され、先生が傍らで見守っていた。

「すみません、また遅くなってしまって」江口美咲は申し訳なさそうに微笑むと、前に出て二人の子どもたちを引き取ろうとした。

しかし先生は二人の子どもたちを庇うように、少し困ったような表情で彼女に微笑んだ。「もう少しお預かりしますね。園長先生がお話したいことがあるそうで、オフィスでお待ちです」

その言葉を聞いて、江口美咲は少し戸惑ったが、それでも階段を上がり、園長先生のオフィスのドアをノックした。

なぜか、園長先生の表情もどこか変だった。

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