第138章

母親の言葉を聞いて、高橋隆司は何も言わずに少し頭を下げた。

松本媛は彼が同意したと思い、孫娘を連れて帰ろうと身を翻そうとした矢先、背後から高橋隆司の声が響いた。

「ご存じないかもしれませんが、この二日間の星ちゃんがどんな状態だったか」

その言葉に、松本媛は足を止めた。確かに田中さんから孫娘が自閉症の発作を起こしていたことは聞いていたが、具体的にどんな状態だったのかまでは知らなかった。

「星ちゃんの今回の自閉症発作は今までよりも重症で、拓哉でさえ手の施しようがなかった。江口美咲のそばにいる時だけ、星ちゃんは普通の子どものように振る舞える。それだけじゃない、江口美咲のおかげで、先日星ちゃ...

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