第151章

江口美咲も男の考えを察して、心の中で少し期待してしまった。

だが、星ちゃんが鞄から紙とペンを取り出すのを見て、その期待も空しくなった。しかし、表情には出さず、ただ言った。「焦らないで。星ちゃんの状態は今やっと少し良くなり始めたところで、まだ安定していないわ。おそらく興奮した時だけ口を開くのよ。ゆっくり行きましょう」

高橋隆司は何とも言えない様子で頷いた。

確かに、江口美咲の言う通り、星ちゃんが口を開いたこと自体が良い方向への進展だった。彼もこれ以上を求めるつもりはなく、自然に任せるのが一番だろう。

星ちゃんは少し書いては考え込み、かなり時間をかけて彼らの質問に答えた。

高橋隆司と健...

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