第155章

祝宴が始まる前に、江口美咲は石川おじいさんに最後の治療を施した。石川おじいさんの精神状態も以前より随分良くなり、ベッドから起き上がって活動することもできるようになった。ただ、長時間の歩行はまだ無理だった。

江口美咲は薬も処方し、石川おじいさんに服用時間をしっかり守るよう注意を促した。これで治療は一段落したことになる。

ついに祝宴当日を迎えた。

江口美咲は研究所の仕事を終え、帰宅して簡単に身支度を整えた。ドレスに着替え、長い髪を上げ、控えめな化粧で宴会に向かった。

石川家の屋敷に到着すると、祝宴はまさに始まろうとしていた。屋敷の外には高級車が所狭しと並び、中に入ると大勢の来客で溢れかえ...

ログインして続きを読む