第156章

しばらく待った後、藤原花子はようやく試着室から出てきた。

「いいわね、これにしましょう」松本媛は彼女の装いを見て、満足げに頷いた。

藤原花子は愛らしく微笑み、高橋隆司の方を向いた。「隆司、来たんだね!」

高橋隆司は無表情で軽く頷いただけだった。

藤原花子は彼の冷淡な態度を気にする様子もなく、自分から明るく話し続けた。「おばさんが一緒にドレスを選びに来てって言うから来たの。この服、どう?」

そう言いながら、軽やかにくるりと一回転してみせた。

母親が仕組んだこの状況に不快感を覚えていた高橋隆司は、その言葉を聞いても一瞥しただけで、適当に頷いて「いいんじゃないか」と返した。

彼の冷淡...

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