第164章

松本媛は石川五郎、石川幸子と一緒に石川おじいさんの傍にいた。高橋隆司たちも呼び戻されたばかりだったが、特に用事もなく、帰ろうとしていた矢先、江口美咲と黒沢慎吾が前後して歩いてくるのを目にした。

「石川おじいさん、特に用事がなければ、先に失礼します。子どもが家で待っていますので」江口美咲は丁寧に告げた。

その言葉を聞いて、石川幸子は少し驚いた様子で「もう帰るの?祝宴はまだ半ばよ、もう少しいらっしゃいよ!」と言った。

江口美咲は申し訳なさそうに微笑んだ。「やはり遠慮しておきます。家の子どものことが心配で」

その場にいる人々は彼女に二人の子どもがいることを知っていたので、彼女が固辞するのを...

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