第35章

外では石川家が石川おじいさんの病状を非常に重視していると噂されているが、今見る限り、確かに石川おじいさんの容態を真剣に案じているようだ。

石川悠斗は隣のベッドを指さした。そこには顔色が悪く、骨と皮だけになったような老人が横たわっていた。「江口先生、どうぞ」

あれが石川おじいさんなのだろう。江口美咲は老人の顔を見ただけで、心が沈んだ。

江口美咲はベッドの脇に腰かけ、石川おじいさんの手を取ると、真剣に脈を診始めた。

石川悠斗は彼女の動作に驚いた。江口美咲が漢方医学の心得があるとは思わなかったし、石川おじいさんのこの有様を見ても、少しも動揺する様子がなかった。

もし彼女が本当に卒業したば...

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