第37章

彼女はそう言いながら、わざわざ高橋隆司の方を一瞥した。男の表情が平静なのを確認してから安心したように、最初の一針を刺した。

「何をしているの?その経穴がどれだけ危険か分かっているの?」人だかりの中から、石川七海が彼女の行動を見て、顔色が一気に険しくなった。

彼女は医術に精通しているわけではなかったが、あの経穴がどういうものか知っていた。先ほど江口美咲が刺した針はとても危険で、手法を間違えれば、一針で命を奪いかねないものだった。

「医術に詳しくないのをいいことに、おじいさんを殺そうとしてるんじゃないの?そして後で『おじいさんの体が弱かったから』なんて言い訳するつもり?」

そう言いながら...

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