第39章

これが初めて彼が江口美咲の仕事姿を見る瞬間だった。あまりの美しさと魅力に、思わず見とれてしまった。

時間が一分一秒と過ぎていき、およそ30分ほど経った頃、江口美咲の額には細かい汗が浮かんでいた。最後の一本の針を打ち終えると、やっと彼女の表情が明るくなった。

「はい、これで大丈夫です。一時間半後に抜針すればいいですよ」と江口美咲は言った。

星ちゃんはすぐにティッシュを数枚取り出して彼女の汗を拭こうとした。江口美咲は目の前の星ちゃんを見つめ、口元に微笑みを浮かべながら少し腰を曲げ、汗を拭くのを待った。

汗を拭き終えると、星ちゃんは江口美咲に水を汲みに行った。

「ありがとう」江口美咲は笑...

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