第5章 私はすべて取り戻す

 杏子視点

 白い天井。消毒液の匂い。見慣れた病室の光景。目を開けると、またこのクソみたいな場所に戻ってきていた。

 「あら、また戻ってきたの」看護師はカルテから顔を上げ、心底驚いた様子だった。「昨日退院したばかりじゃなかった? 今度はどうしたの?」

 私は力なく笑った。「話せば長くなるわ」

 看護師は肩をすくめ、備品の整理を続けた。「わかったわ。でも、昨日の人は? あなたのご主人」

 「元夫よ。離婚したの」

 彼女は、そんな話は千回も聞いたというように頷いた。私は頭のズキズキする痛みに耐えながら、なんとか身を起こそうと苦闘する。彼女が何か、おそらく謝罪の言葉を続けようとしたが、...

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