第6章

 黒崎修はよろめきながらドアを押し開けた。アルコールのせいで、体の動きがひどく鈍い。

「月島、寝間着を出してくれ」

 ネクタイを緩めながら、いつものように怒鳴る。

 返事はない。

 黒崎は一瞬呆然とし、そして思い出した――彼女はもう、いないのだと。

 彼はふらつく足取りで寝室に入り、赤ワインで汚れたシャツを無様に脱ぎ捨てた。以前なら、このタイミングで月島花が無言で現れ、上着を受け取り、綺麗にアイロンがけされた部屋着を差し出していたはずだ。

 だが、今は何もない。

 リビングへ行き、明かりをつける。

 壁には陽斗の絵が掛かっていた――クレヨンで描かれた、満面の笑みを浮かべる三人...

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