CH 116

ハワイ自然史博物館は、高い窓から光が降り注ぐ、広々とした開放的な建物だ。磨き上げられた木の香りと、微かな潮の香りが空間に漂い、落ち着きを与えている。だが、ウェイクと私が足を踏み入れると、私の心臓は早鐘を打っていた。

受付にいた背の高い女性が、笑顔で「アロハ」と温かく迎えてくれた。ウェイクは警戒心も露わに彼女を睨むが、私は礼儀正しく微笑み返し、彼の腕を引いて展示ホールへと向かう。博物館の中は静かで、数人の来館者が展示の間をのんびりと行き交っているだけだ。

最初に目に留まったのは、太平洋の巨大な地図だった。地殻プレートと断層線をなぞるように、光る線が走っている。その横のプレートにはこう書かれて...

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