第125章

祖母の書斎は、ありえないほど完璧に整えられていた。白塗りの壁に柔らかなパステルカラーのアクセントが効いていて、まるで雑誌の特集ページからそのまま抜け出してきたかのようだ。

薄手のカーテン越しに陽光が差し込み、計算し尽くされた生け花の配置や、磨き上げられた銀の盆を際立たせている。ほのかにラベンダーとレモンの香りが漂う。清潔だが生活感もあり、どこか心が安らぐ空間だ。これほど居心地の良さにこだわっているところを見ると、彼女がこの船で過ごす時間は相当長いのだろう。

そしてそこには、白いリネンのアームチェアに腰掛け、その巨大な手で湯気の立つティーカップを持つウェイクの姿があった。私はその場に凍りつい...

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