第190章

彼の腹部に赤く腫れた擦り傷を見つけ、私は身を乗り出して、長くゆっくりと舐め上げた。私の感触に彼の筋肉が震え、あたりに雨上がりの土と潮の香りが満ちる。それは許可も同然だったから、私はもう一度舐めた。そしてもう一度。

鉄と泥の味がした。その味は、表面的な傷の下にある彼自身の味を完璧に引き立てている。彼の中で力が湧き上がり、姿勢や呼吸が変わるのがわかる。彼はあえて私のためにじっとしてくれているのだ。

私は彼の太ももへと移り、膝まで続く長い擦り傷に目を向けた。上から下へと舐めていく。鋭い歯ではなく、舌の腹を使って慎重に。

舌の下で皮膚がゆっくりと繋ぎ合わさり、肉が滑らかになっていく。やがて傷があ...

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