チャプター 203

真夜中、音楽の音でふと目が覚めた。柔らかく遠い響きだが、深い眠りから私を無理やり引き剥がすような強さがある。窓の外で揺らめく生体発光のランタン、その薄暗い光に目が慣れるにつれ、瞼が震えた。

その旋律は聞き覚えがなく、これまでに耳にしたどんな音楽とも違っていた。どこか恐ろしくも繊細で、囁くような子守唄のように私の五感に絡みついてくる。「アオ」の歌ではないし、「トワイライト」や「アビス」で聞いた音楽にも似ていない。そこには何か不自然な響きがあり、言葉にできない何かが私を強く引き寄せている。

隣にはウェイクがいて、深い眠りに落ちていた。乱れのない安定した寝息。それ自体が奇妙だった。彼はいつだって...

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