チャプター 212

ウェイクはタイラーやタイと話すためにデッキに残り、その間に私は船室へと引き上げた。これから始まる会議の前に、どうしてもシャワーを浴びて着替える時間が欲しかったのだ。肌を伝う真水の感触、洗い流されていく海水の重み……それだけで、胸がいっぱいになりそうだった。

私は必要以上に長くシャワーを浴び続け、筋肉の奥まで熱を浸透させ、体にまとわりつく疲労を洗い流した。ようやくバスルームから出ると、足元で船が緩やかに揺れるのを感じた。海面に戻ってきたとはいえ、自分はまだ海に繋がれているのだと思い知らされる。

ショートパンツとTシャツを身に着けながら、乾いた肌に布が張り付く感覚に驚嘆する。再び「本物」の服を...

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