チャプター 216

夜の空気は、焼き魚やスパイス漬けの昆布、そして蜂蜜を思わせる甘い香りで濃厚に満ちている。ネレイド号の甲板は、笑い声や杯を打ち合わせる音、誰かが拾ってきた古びたラジオから流れる音楽で活気づいていた。

足元の船の緩やかな揺れが、自分たちの居場所を絶えず思い出させる。だが、ここ数週間で初めて、肩の力が抜けるのを感じた。これは祝いだ。次の戦い、次の任務、すぐそこに迫りくる嵐に身を投じる前の、手にする権利のある束の間の安息なのだ。

甲板の向こう側では、ウェイクがタイやタイラーと話し込んでいる。その表情はいつものように真剣そのものだ。リラックスしている時でさえ、彼には鋭さがある。決して消えることのない...

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