第二十三章

最初に気づいたのは、浮遊感だ。平衡感覚がずれ、胃がひっくり返るような感覚に襲われる――まるで深淵に放り込まれたようだが、実際には私は立ち尽くしている。奇妙な圧力が周囲に高まり、静電気のような微細な羽音が肌を刺激する。まるで宇宙そのものが息を止めているかのように。

その時、コーラの手が私の手からすり抜け、続いてデルフィニウムの手も離れていくのを感じ、心臓が大きく跳ねた。

目を開ける――すると、周囲の世界が動いていた。

後ろ向きに。

私は息を呑み、目の前の光景を理解しようともがく。

戦いは単に巻き戻っているだけではない――それはシュールで、感覚を狂わせるような光景だった。現実そのものが内...

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