チャプター 269

ウェイクは低く、鋭く舌打ちし、呪詛を漏らした。「畜生。どこもかしこもクソだらけだ」

彼は薄暗い部屋に視線を走らせる。壁や通気口を伝って広がり、この場所の骨の髄まで浸食していく様子が、まるで目に見えているかのようだ。

「もしこいつが、接触した人間の意志や意図に反応しているのだとしたら……こんな場所じゃ」彼は呟く。「大惨事になりかねないぞ」

なりかねない、だって? 私にはもう手遅れのように思えるけれど。

私は手の中のオーブを見下ろした。まだ温かく、脈動し、ありえないほどの生命力を放っている。ふいに、胸の奥がぐいと引かれる感覚を覚えた。物理的なものではない。感情的なものでも。それはまるで……...

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