第二十八章

血液転送がその奔流(ほんりゅう)を極めた瞬間、私はそれを感じた――肉体だけでなく、私の「個」そのものが侵食されるのを。自分の輪郭がぼやけていく。思考と感覚が互いに溶け出し、混ざり合う。ダークライトが稲妻のように血管を駆け抜け、私の一部を削ぎ落としては、銀色の管(チューブ)を通って真っ直ぐに彼女の中へと送り込んでいく。

まるで炎で内側を抉(えぐ)り取られているようだ。

ポッドの中は今や灼熱で、息が詰まる。手足は言うことを聞かない。胸が浅く、小刻みに上下するだけで、顔に流れる汗を拭うことさえできない。

ああ、これで終わりか、と思う。彼女はこうやって勝つのだ。戦争でもなく、銃でもなく。輸血と理...

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