チャプター 319

オロクンの陣営の奥へと案内される間、私たちは極力目立たないように振る舞った。

使者はマルと名乗った。先ほどの待ち伏せ攻撃にもかかわらず、彼は自らの主君である「継承者」の庇護下にあるという安心感からか、足取りには余裕がある。数歩進むごとに、ウェイクと私は視線を交わし、無言で意思を通わせる。彼が何を考えているかは手に取るようにわかる。「罠だ」と。だが、彼が引くつもりがないこともわかっている。そして、私も同じだ。

野営地は整然としており、黒い玄武岩のギザギザとした尾根の間に挟まれるように位置している。境界線には青白い貝殻を模したランタンが並び、ゆっくりとした律動で光を放っていた。珊瑚で作られた門の...

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