CH57

ウェイクが岩棚の方へと動き、その銀色の瞳が私の視線を捉えて離さない。彼が水から上がり始めると、水面下で波打つ筋肉の動きが見て取れた。彼の中に変化が起きているのがわかる。身体が変わり始め、彼の中の人間的な部分が現れようとしている。だが、私の中の何かがそれに激しく抗った。

「待って」

私は声を詰まらせながら言った。岩棚の端へと一歩近づくと、素足に冷たい石の感触が伝わってくる。

「……変身しないで」

彼は凍りついたように動きを止め、鋭い眼差しで私の顔を探った。「どういう意味だ?」

「今のままのあなたがいいの」私はそう告げた。自分でも思っていたより確信に満ちた言葉だった。けれど、それは紛れも...

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