チャプター 62

夢が私を包み込む。最初は柔らかく、どこか懐かしい感覚だ。私は子供に戻り、地中海の波打ち際に立っている。背中に受ける陽射しが温かい。

傍らには彼女がいる。祖母のカーラだ。私はいつも「おばあちゃん」と呼んでいたけれど。記憶の中の姿そのままだ。信じられないほど美しく、三十五歳にも、五十五歳にも見える年齢不詳の顔立ち。長い黒髪が緩やかな波を描いて背中を流れ、海のような深い青色の瞳が私を見つめている。その瞳には、子供の頃の私には理解できなかった、ある種の憂いが宿っていた。

当時、私は彼女を世界で一番美しい人だと思っていた。もっと一緒に過ごせたらといつも願っていた。けれど、彼女はいつもどこか別の場所、...

ログインして続きを読む