第90章

葉田さんは海外での事業が手広いため、どうしても手が回らないことがある。そんな時、エマが代わりに奔走してくれるのだ。だからこそ、林田知意はエマに深い感謝の念を抱いていた。

今回の食事会は、気心の知れた身内だけで行うことにした。部外者が一人でも混ざれば、途端にリラックスできなくなるからだ。そうなれば、ただの退屈な接待、ありきたりな社交辞令の場に成り下がってしまう。

彼女と北村南は一足先に北辰ホテルへ到着し、個室を確保していた。テーブルの上には、すでに予約していた海鮮料理が所狭しと並べられている。

最初に駆けつけたのは田村翔太だった。彼は退勤後、窮屈なスーツを脱ぎ捨て、カジュアルな私服に着替...

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