第93章

彼はただ、後日佐藤聡と林田知意が顔を合わせた際、この提携の件で気まずくなるのではないかと懸念していただけだ。

当の佐藤社長本人が気にしないというのであれば、高橋契としては、ただその通りにするまでである。

北村南は早朝から別荘へ林田知意を迎えに来ており、知意は自由を連れてそのまま車に乗り込んだ。

幸い、自由の通う学校は会社へ向かう道すがらにある。

知意と自由は後部座席に並んで座っている。昨日は遊び疲れた自由が帰宅後すぐに眠ってしまったため、ろくに言葉を交わせなかった。

今朝もまた、一方は出勤、もう一方は登校と慌ただしく、落ち着いて話す時間が取れずにいたのだ。

「ママ、昨日パパと遊び...

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