第17章 福江良平の妻としてしっかりと生きる

これらの人々の中で、どれだけが本心で、どれだけが建前なのか、福江良平はどうでもよかった。

千葉清美にいたっては、なおさらだった。

名門家系の駆け引きや、大家族の複雑な人間関係など、千葉清美には関係のないことだった。

すぐにも福江良平と離婚するのだから。そんなことに心を砕く暇はない。離婚までの間、自分とお腹の子どもの面倒を見て、それから千葉グループを救うための投資先を探すことだけを考えていればいい。

それは父の形見であり、父の人生をかけた事業なのだから。

破産寸前の会社を、見捨てるわけにはいかない。

それ以外のことは、千葉清美の関心事ではなかった。

ボディーガードが福江良平を押し...

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