第20章 福江良平の最も美しい花嫁になる

夕方、千葉清美は会社を出て、わざわざ薬局に立ち寄った。

手首の青あざは痛くはないものの、見た目が気になった。

商品棚を見ていると、ふと思い出したことがあり、店員に確認した。

「妊娠中は、お血を めぐらす薬は使えないんですよね?」

店員は答えた。

「はい、奥さん。妊婦さんは禁忌に当たります。そういった薬を使用すると流産や切迫流産の恐れがありますので。もしかして妊娠されていますか?」

千葉清美は黙って頷いた。

店員は棚から葉酸のボトルを取り出して渡しながら言った。

「何ヶ月ですか?妊娠初期なら、葉酸の補給が必要です。胎児の葉酸が不足すると、神経系の疾患を引き起こす可能性があります...

ログインして続きを読む