第33章 福江良平が好きなタイプ

「賀川純が提示した買収額はいくらですか?」と千葉清美は尋ねた。

「たった200億円だけです」と田中副社長は言った。

千葉清美は会社を引き継いだものの、実際には資金面にはあまり詳しくなかった。

彼女は探るように尋ねた。

「その価格は理想的ではないのですか?千葉グループは200億円の価値しかないのですか?」

田中副社長の表情は明らかに興奮していた。

「かつて会社が正常に運営されていた時なら、200億円の買収価格なんて考えもしませんでした。どの製品の特許一つ買うこともできないほどです」

田中副社長の口調は再び沈んだ。

「もちろん、今や会社は昔日の面影もありません。...

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