第41章 悪党と結婚した

千葉清美は鈴木舞が森川先輩の話を出したとき、思わず俯いてしまった。

「森川先輩が好きだって分かってるでしょ?清美」と鈴木舞は尋ねた。

千葉清美は小さな声で答えた。

「先輩は、もっといい人に相応しいよ」

森川南は彼女の一学年上の先輩だった。入学初日、彼は彼女の荷物を運び、キャンパスを案内し、憧れていた部活への入部も手伝ってくれた。それだけではなく、図書館では席を確保してくれたり、週末には鈴木舞と一緒に近くの公園へ連れて行ってくれたりした。

森川南の両親は二人とも大学教授だった。本人も背が高くハンサムで、笑うとき見せる白い歯並びがとても爽やかだった。

学校では多くの女子...

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