第8章 彼女は触れてはいけないものに触れた

福江良平は頬を強く噛みしめ、怒りが爆発寸前だった。

千葉清美は顔を真っ青にして震えながら言った。

「ほ、ほんの一瞬だけです。開いたらすぐ閉じました!本当に故意じゃなくて、その時あまりにも焦ってて、つい開いてしまって……」

「黙れ!」彼女の言い訳を聞いて、さらに嫌悪感が増した。

「部屋に戻れ!離婚するまで、一歩も外に出るな!」

千葉清美は今の福江良平を前にして、もう何も言えなくなった。

激怒している人間に、どんな説明も通じない。

何を言っても無駄なのだ。

彼女は黙って部屋に戻った。

これ以上ここに居て、彼の嫌悪感を増すだけだった。

千葉清美はドアを閉めた。

福江良平は固く...

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