第39章

病院の外で安里佑梨は椅子に座り、止めどなく泣いていた。彼女の兄である安里浩二はまだ手術室で救命処置を受けている最中だった。

葉山風子と佐藤萌が彼女の傍らで慰めていた。

桂原明は夏川修に付き添い、警察と話し合って事故の経緯について問い合わせていた。

「何か誤解があるんじゃないですか?彼らがスピード競争なんてするはずがないでしょう?」

夏川修は眉をひそめながら警察官に尋ねた。

警察は交差点の監視カメラの映像を調査した結果、安里浩二たちが車で道路を走りながら加速し続け、次々と車を追い越し、減速の形跡がなく、最後に壁に衝突して初めて停止したことが映っていた。

「人間が壁にぶつかりそうにな...

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