第41章

葉山風子は夢の中で小山友夫と安里浩二が手術室から飛び出してくるのを見た。二人とも血だらけで、まるでゾンビのように葉山風子に向かって爪を伸ばしていた。

「なぜ映画を見に行ったんだ?もしお前が映画を見に行かなければ、俺たちは死ななかったのに」

安里浩二が悲痛な声で叫んでいた。話すたびに口の端から血が流れ落ちる。

「近づかないで、来ないで、助けて、助けてー!」葉山風子は必死にもがきながら逃げようとした。今の彼女は自分が格闘家であることさえ忘れていた。

「落ち着いて、落ち着いて、どうしたんだ?やめろ」

桂原明の声が葉山風子の耳元に響いた。

葉山風子はおずおずと目を開け、桂原明が心配そうな...

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