第22章

高橋玲子が去った後、高橋峰人は眉をひそめ、疑いに満ちた目で高橋月見を見つめた。

その眼差しは鋭い手術用メスのようで、高橋月見の仮面を一枚一枚剥がそうとしているかのようだった。

高橋月見はその視線に心が揺らぎ、思わず唇を噛んだ。

「お父さん、私は本当に何もしていないわ。どうして佐藤社長が急に私の起用を取りやめたのか分からないの。ずっと一生懸命このチャンスを掴もうと、高橋家のために頑張ってきたのに」

そう言いながら、高橋月見は極めて無実の表情を装い、目に涙を浮かべ、つらそうな様子を見せた。

元々高橋月見に甘い高橋峰人は、高橋玲子の言葉で多少の疑いを抱いていたものの、高橋月見の言葉ですぐ...