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ツネオ

レンジは口をあんぐりと開けた。「どれほどの額ですか? 単純な計算ミスなどではなく?」

「巨額の資金が細分化され、あちこちに移動されているのだぞ? それにしては額が大きすぎるし、手口が巧妙すぎる」

彼は台帳を開いた。記入事項に目を通し、私がすでに発見していたものを見て目を見開いた。彼が見ていた記録を開くその手つき。喉仏が動き、生唾を飲み込んだのがわかった。何を言うべきか確信が持てない様子だ。

「そ、そんな馬鹿な……どうしてこんなことに」彼は弱々しい声でどもった。「手順はすべて遵守しております。不正な取引など……少なくとも、私の目の届く範囲では」

私は片眉を上げ、少し身を乗り出し...

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