CH109

ツネオ

私は拳を握りしめた。事実を悟った瞬間、新たな怒りの波が体中を駆け巡る。

あの馬鹿が毒を入手できたのは、奴が裏で糸を引いていたからなのか?

奴はこれまで、王宮内で他にどんな裏工作を行っていたというのだ?

私は踵を返し、思考を巡らせながら自室へと急いだ。もし資金がエリアに横流しされていたのなら、必ず足跡が残っているはずだ。痕跡、連絡手段、支払いの記録――奴の潜伏先を特定できる何かが。アリに関する知らせが奴に届くのを待つつもりはなかった。そもそも、奴が彼女のことなど気にかけているとすればの話だが。

今回は、天界の荒野へとかき消えるように逃げ仰せる幸運には恵まれないだろう。

可能な限り苦...

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