CH132

ツネオ

その問いかけに、俺は思わず笑ってしまった。「そういうわけじゃないさ。他の科目はどれも問題なかった。ただ、詩だけはどうしても……うまく理解できなくてね」

正直に言えば、一番苦手な科目でもあった。あの頃の俺は若く、どこか世の中を斜に見ていた。偉大な詩人たちがその不死鳥(フェニックス)に対して抱いたような情熱を、自分が誰かに抱くことなど一生あり得ないだろうと、半ば確信していたのだ。

モーガンを見つめながらそんな昔の自分を思い出し、つい口元が緩んでしまう。

彼女は小首をかしげた。「あなたが詩を嗜む時間があったなんて、意外だわ」

「家庭教師たちが、俺に……教養というものを身につけさせよ...

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